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短波流セッティング論

私が試行錯誤の上で得た経験を元にして、これからセッティングを始める方向けの説明を書いてみました。 純粋に個人的な理論なので勘違いなどがあり得るため、玄人の方からの突っ込みもお待ちしています。

 
 
キャブセッティングの前に
 

セッティング云々を言う前に、全閉・1/4・1/2・3/4・全開など現在どの程度アクセルをひねっているかを掴む感覚を身につけましょう。
またタコメーターもあった方がよいです。無くても問題無いでしょうが、自分のエンジンの性格を掴む(谷がどこにあるとか、パワーバンドはどのあたりだとか)ことが出来、非常に便利です。本当にエンジンのことを理解したければ付けるべきパーツだと思います。

セッティングが定まらない間は、無理な遠出などは避けましょう。また#10レンチや+−のドライバー、プライヤーなどをカバンやバッグの隅に入れておくと便利です。エンジンが暖まってきたり、高度が変化したり、周囲の温度湿度が変化したりすると、セッティングも変わってきます。様々な環境を走ることで、それらの中間を取った「通常走行でのベスト」が見つかるはずです(決まった場所を走るレースとは考え方が違うことを心得ておきましょう)。

ここで書いている事は、キャブの基本的な構造や燃料系のしくみや操作を十分理解されていることを前提に書いてます。アイドル調整、2次エア確認などの超基本的な調整などは、常識として記載無くとも行ってください。

アイドルアジャストスクリューって何?とかキャブの外し方を教えてください!とかいうレベルの方は、まずそれらを解決してからセッティングに望んでください。というか、そういう事も分からずにビッグキャブ換装などは、宝の持ち腐れだと思います(断言)。
基本的な事は誰も積極的には教えてくれません。礼儀と常識を持って、知っている人に聞きましょう(当サイトのBBSや管理者へのメールなどで聞いてくださっても結構です。分かる範囲でお答えします)

 
 
セッティングとプラグの関連性について
 

プラグの色を見てセッティングを調整する(濃い、薄いの判断をプラグで行う)という事は私はあまりしません。
プラグの色はその熱価に対する燃焼状態(温度)で変わるものですが、プラグに燃調を合わせるより、適切な燃調にプラグを合わせるのが本来の手順だと思っているからです。

まず標準プラグ(高圧縮・ボアアップシリンダなら標準より若干熱価の高い物)でセッティングをきちんと出します。その上で改めてプラグの色を確認し、白いようならもっと高い熱価のプラグ、くすんでいればもっと低い熱価のプラグに変えていきます。
セッティング(エンジンの改造具合、つまり排気量や圧縮比などの燃焼状況)に対してプラグを選ぶ、という事です。

ちなみに、特殊なプラグ(マルチスパーク)や点火系強化(ノロジー等)を使用している場合は、体感できるフィーリングが変化する場合があります(私の経験では、実際は濃いのに薄い時の症状が出た)。比較しやすいように、セッティング用のノーマルなプラグを用意しておくと良いと思います。

 
 
セッティングの基本的な考え方
 

キャブレターは、エンジンが吸い込む空気の流れにあわせてガソリンを吸い上げ、霧状にして混ぜる装置です。空気に対する燃料の比率を空燃比といい、これがピッタリ適切な比率の時に最も出力が上がります。

ガソリンの噴出量はJN(バルブに付いている針)とNJ(キャブ下側の針が刺さっている穴)の隙間、SJ(キャブ側面のネジ。アイドルスクリューとは別)の締め込み具合、そして全開域でのMJで決定され、それを総合的に調整するのがセッティングです。
キャブの種類によってはもっと沢山の設定箇所(上級になるとニードルやバルブなどを換えて更に細かく調整します)が存在する場合もあります。
あらゆるスロットル開度においてその空燃比(空気に対するガソリンの比率)を適切に調整する(=パワーを出す)事が最終的な目的だと考えてください。

スロットルを開けると、バルブが開いて空気の取り込み量が増加します。
同時にJNが上に上がり、JNとNJの隙間が広がってガソリンが出て空気と混ざります。キャブを流れる空気の量と噴出するガソリン量は、このバルブとJNの動き(開度が大きい時は主にMJ)と連動します。このバランスをあらゆるスロットル開度において適切な状態に調整するのがセッティングです。

ちなみに、スロットルは「ガソリンの量」を調節しているのではなく「混合気の量」を調節しています。燃調を決めるのはスロットルではありません。
スロットルを一定にしていても、エンジンの回転数(=空気の流入速度)によって空気とガソリンの量は変化しています(この比率はほぼ一定になっているはずです)。
よく「上が回らない」などという表現をする場合がありますが、キャブセッティングに関して回転の上下とガスの濃い薄いはあまり関係ありません(もちろん、厳密には関係しています)。
セッティングの初歩段階では、空燃費は単純にMJやJNなどによってコントロールされている、と理解しておけばよいと思います。

 
 
回転数域によって空燃比が変化する場合
 

スロットルを全開にして加速中などに、回転数によって濃すぎる症状がでたり薄すぎる症状がでる場合があります。

この場合は、キャブ周りからマフラーまでの全体についてのバランスを確認すべきです。マフラーからガス漏れがないか、二次エアーをすっていないか、エアフィルタ・マフラーとエンジン排気量のバランスがとれているか、まず見直してみましょう。

なぜキャブ以外を疑うのかと言いますと、回転が上がってマフラーからガスが漏れて高回転域が薄く感じるとか、エアフィルタ・マフラーの容量不足で高回転で濃く感じるという場合もあるからです。
低回転域でも高回転域でもパワーが出ていることが理想ですが、その状態にたどり着くためにはそれ相応の苦労と試行錯誤と出費が必要になります。

 
 
濃い薄いの判定方法
 

セッティングを始める際、最も壁となるのがこの判断の付け方です。これはセッティングを始める時に一番悩まされる点の一つでしょう。

ここで、私が実際にセッティングを行いながら感じた調子の変化を簡単にまとめてみました。これは主観的なイメージであり、また車両によって異なる場合もあるので、あくまでも参考程度で捉えてください。これは私個人の、私の所有する車両での説明なので、厳密には間違っているのかもしれません。オフやBBSで話す際には使い方に注意しましょう(笑)

始動・アイドリング・エンジンブレーキ

●薄い時
・エンジンがかかりにくい(チョークを引くとかかりやすくなる)
・アイドリングが不安定
・アイドリングで自然にエンストする(エンジンが暖まると安定する)
・エンジンブレーキでアフターバーン(マフラーからパン、ポン、パシなどの音)

●濃い時
・着火しない(エアクリを外したりすると改善する場合がある)
・始動すると目に見える煙がマフラーから出る(わずかな煙や水蒸気は正常)
・エンジンが暖まってくるとエンストする(信号待ちでエンストするなど)

アイドリングから低回転

●薄い時
・低回転で走行するとがたつく(時々失火してがくがくする)
・スロットルを開けるとストンとエンジンが止まる。
・素早くスロットルを開閉するとアフターバーンやバックファイアを起こす(特に回転数が下がる際)

●濃い時
・低速で走行中、スロットルを操作しても回転数がついてこない(もたつく・つきが悪い)
・素早くスロットルを開くと、くぐもった音(人によっては「水っぽい音」ということがありますが、私は口に手を当ててしゃべっているような「こもった」印象を受けました)がして回転数が下がる(ぼこつく)

中高速・巡航時

●薄い時
・回転が安定せず、スロットルを開け閉めすると不安定に失火する(息つき)
・下り坂ではキレイに上まで回るのに、平坦路・坂道では力がない(失速)
・スロットルを閉めるとアフターファイアし、スパッと開けると不安定に失火する

●濃い時
・上り坂でぼこついて失速する
・下り坂でも上まで回りきらない(頭打ち)
・スロットル開度に応じて音量は増えるが、パワー・回転数がついてこない

全てが上記の組み合わせで解決するとは限りませんが、エンジンが気持ちよく回らない時の判断の参考にはなると思います。

 
 
その他の参考データ
 

私が個人的に感じたことを書いてみます。本当に私自身の感覚での話なので、あとは自分の目と耳と手で感じてください。

音について

  • 薄い時は音が大きく甲高くなる傾向がある
  • 薄すぎる場合、着火すれば力強く爆発するが、一定のラインを越えて薄くなると突然失火するので「パパんパんパパパん(パ=燃焼/ん=失火)」のようにぎくしゃくした感じになる
  • 極端に薄すぎると全く着火できず、濃すぎる時と同じようなフィーリングになることもある
  • 濃い時は、音がくぐもり、ぼこぼこした感じになる
  • 極端に濃くなければ着火するが、音ばかりで加速感を感じない
  • 全開域が濃い場合、平坦路から軽い坂に入ると「ババババ」という音ばかりで次第に速度が落ち、やがて全開でも回転数が落ちていき最後はエンストする

スロットル操作について

  • じわっと開けると吹けあがるのに急に開けると失火するという場合は、低開度域が薄いか全開域が濃い場合が多い
  • 2stと同じ感覚でガバッと開けると失速したりする(これはキャブのセッティングだけでは調整しきれない。4stはエンジンの回転数などを感じながらリニアに操作するのが理想)

セッティングの進め方について

  • 個人的には、低開度から中開度を安定させてから全開域の設定に移り、全開域が安定したら中開度と低開度を再調整する、という手順を好んでいる
  • セッティングが初めての場合は、あきらかに濃いセッティングや薄いセッティングでその音・加速感・排気の臭いなどを体感しておくとよい
  • 空ぶかしの状態と負荷のかかった実走行の状態では、フィーリングが全く異なる(特に高回転域)ので、スタンドでタイヤ空転させて調整しても無駄
  • 判断が付かなくなって泥沼化してきたら、一度SJとJNを標準にしてMJを濃い目から仕切りなおした方が、下手に試行錯誤するより早い
  • SJやMJなどのセッティング状態と実走時のフィーリングをリストにまとめておく
  • いきなりカリカリにセッティングを出そうとせず、まずは普段の走行が可能な状態を作ることを目標にしたほうがよい
  • あまりのんびりしていると季節や天気の影響でセッティングが徐々にずれ、訳がわからなくなるので要注意

キャブ調整で大きくフィーリングの変わるバイク。それを体感すると自分の愛車がタダの機械ではないような、不思議な親近感が沸きます。
是非みなさんも挑戦してみてください。

 
 
 
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